小倉百人一首 短歌翻訳第8篇 |
解説・翻訳:宿谷睦夫 英文添削:ブルース・ワイマン 監修:ボイエ・ラファイエット・デイ・メンテ |
“100 tanka poems by 100 poets”(Chapter 8) 029 Mitsune Oshikochi Ko ko ro a te ni wo ra ba ya wo ra mu ha tsu shi mo no o ki ma do wa se ru shi ra gi ku no ha na I'd like to pick one of these fine chrysanthemums flowering so white that I'd never part from it, but in vain because of frost. (He tries to show us his impression of how white the first frost is in it.) Reference: commentary post(3) (7) Tanka in July (2000)平成12年 (9) Tanka in September(20003)平成15年 030 Tadamine Mibu A ri a ke no tsu re na ku mi e shi wa ka re yo ri a ka tsu ki ba ka ri u ki mo no wa na shi As I left your house at dawn after watching the moon, which resembles your face, nothing has been more painful than dawn since this departure. (In the Heian-period in Japan, most bureaucrats, especially in fashionable society, did not live together with their wives. So, each husband used to go to the residence of his wife during the night and returned to his own house at dawn. And most husbands were taken care of by women called Nyobo, who were not wives but servants when he was in his house.) 031 Korenori Sakanoue A sa bo ra ke a ri a ke no tsu ki to mi ru ma de ni Yo shi no no sa to ni fu re ru shi ra yu ki When I look around all of Yoshino village just around daybreak, the snow falls upon the field as if the moonlight glittered. Reference: commentary post(3) (12) Tanka in December(20002)平成14年 (12) Tanka in December(2004)平成16年 032 Tsuraki Harumichi Ya ma ka wa ni ka ze no ka ke ta ru shi ga ra mi wa na ga re mo a he nu mo mi ji na ri ke ri From the crimson leaves the wind has built up a weir which has spread over the stream in the deep mountains as if to block the water. |
「小倉百人一首」第8篇 029凡河内躬恒(859?-925?)(三十六歌仙の一人06)
(「白菊の花を折ってみようか。しかし、白菊の花と同じように白い初霜がおりているので、当て推量に折るしかない白菊の花よ」と白菊の花と区別がつかないほど、庭一面に白い初霜がおりた朝の印象を詠んだ歌です)解説(3)参照 下記・右記参照: 解説(3) 第三章第 7節 七月(文月)「槿」(あさがお)倒置の例歌 第六章第 9節 九月「菊花薫」(きくのはなかをる) 030壬生忠峯(?-907-?)(三十六歌仙の一人07)
(「明け方の月が、冷ややかに空に残っているように、貴方が冷たく見えた別れ以来、夜明けほど辛いものはありません」という意味の歌で、「女性からそっけない態度を見せられた別れ以来、暁ほど切ないものは無い」という相手の女性への恨み言の歌です。第5編019伊勢の歌の解説で「男の訪問を待つしか術のない当時の女性」と述べましたが、女性であっても、男性以上に異性を自由に選択していたことが伺える歌でもあります) (日本では、平安時代、大部分の貴族は、特に上層部になればなるほど、妻と同居するということがありませんでした。それは妻の方も身分の高い女性の場合が多かったので、何人もの傍女を抱えていたこともあります。そこで、夜になってから妻の所に通うという「夜這い婚」の風習が普通になっておりました。しかし、男性の方も日々の生活の中で身の周りの世話をする女性がいなくてはなりませんでしたので、男性も傍女を抱えることになります。それは妻と呼ばずに、「女房」と呼んでおりました) 031坂上是則(?-930) (三十六歌仙の一人08)
(「仄かに夜が明けて来た頃、有明の月の光が映っているのかと思われるほどに、この吉野の里に白い雪が降っているのでした」という意味の歌で、春は桜、冬は雪が美しい吉野ならではの歌です。雪を月の光に見立てる修辞法を使って、ロマン的な清涼感を持たせた伝統和歌の模範的秀歌でもあります。)解説(3)参照 下記・右記参照: 解説(3) 第五章第12節 十二月「竹雪深」(たけのゆきふかし) 第七章第12節 十二月「山雪」(やまのゆき) 032春道列樹(?-920)物部氏の一族
(「山あいを流れる川に、風がかけ渡している柵(しがらみ)は流れることが出来ないで散りたまった紅葉であったのだ」という意味の歌で、美しい紅葉が柵(しがらみ)のように散りたまった様子を詠んだものです。比叡の南麓をぬう志賀越えの山道の実景を詠んだものだと言われていますが、古今集のどこにでも見られる秋の景色を詠んだ歌です) |
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