小倉百人一首 短歌翻訳第20篇
解説・翻訳:宿谷睦夫 英文添削:ブルース・ワイマン
監修:ボイエ・ラファイエット・デイ・メンテ

“100 tanka poems by 100 poets” (Chapter 20)
Compiled by Teika Fujiwara
translated by Mutsuo Shukuya


Translator: Mutsuo Shukuya himself
Auditor: Bruce Wyman
Supervisor: Boye Lafayette De Mente


“100 tanka poems by 100 poets”(Chapter 20)

077 Emperor Sutokuin

Se wo ha ya mi
i wa ni se ka ru ru
ta ki ga wa no
wa re te mo su we ni
a wa mu to zo o mo fu


I will live again
by your side without fail,
though divided by
so many interruptions
like a rock in a swift stream.




078 Kanemasa Minamoto

A wa ji shi ma
ka yo fu chi do ri no
na ku ko we ni
i ku yo ne za me nu
Su ma no se ki mo ri


Many many nights
have the nightwatchmen woken
to hear the plovers
crying while they come and go
between here and Awaji.



Reference: commentary post(5)
(11) Tanka in November(20002)平成14年





079 Akisuke Fujiwara

A ki ka ze ni
ta na bi ku ku mo no
ta e ma yo ri
mo re i zu ru tsu ki no
ka ge no sa ya ke sa


Through breaks in the clouds
as they are torn by the wind
the moonlight shines out
at intervals this evening
How brilliantly it seems now!


Reference: commentary post(5)
(3) The aesthetic tanka
(8) Tanka in August(2001)平成13年




080 Nun Horikawa

Na ga ka ra mu
ko ko ro mo shi ra zu
ku ro ka mi no
mi da re te ke sa wa
mo no wo ko so o mo he

Though I spent last night
with you so delightfully
as my hair tangles,
I'm discouraged to think of
whether your love will
last long or not from now on
after he left this morning.


「小倉百人一首」第20篇

077祟徳院(1119-1164) (第75代天皇)

瀬をはやみ せをはやみ
岩にせかるる いはにせかるる
滝川の たきがはの
われても末に われてもすゑに
あはむとぞ思ふ あはむとぞおもふ

(「浅瀬の流れは速いので、岩にせきとめられる急流のように、喩え二つに分かれても、又下流で一緒になるように、我々二人も今は人に仲を裂かれているが、将来は再び一緒に逢えることになると思うよ」という意味の歌で、仲を裂かれても、将来は添い遂げようとする一途な恋心を詠んだ歌です)



078源兼昌(?-1116-?)「堀河次郎百首」作者

淡路島 あはぢしま
かよふ千鳥の かよふちどりの
鳴く声に なくこゑに
幾夜ねざめぬ いくよねざめぬ
須磨の関守 すまのせきもり

(「須磨の関守が幾夜も寝られないほど、千鳥の鳴く声が聞こえたことだろうか」という意味の歌です。千鳥は種類により鳴き声は違うが、哀調が篭っており、古来より詩歌や絵画の素材となりました。また、柿本人麻呂は「近江の湖の夕べの波の上を飛ぶ千鳥よ。お前が鳴くのを聞くと心も打ちしおれて昔のことが思い出される」という意味の歌を詠んでおり、この歌によっても千鳥が「心も打ちしおれる」ほど哀調の篭った鳴き声をしている鳥であることが解ります。)

下記・右記参照: 解説(5)
第五章第11節 十一月「浦千鳥」(うらのちどり)



079藤原顕輔(1090-1155) (「詞花集」の選者)

秋風に あきかぜに
たなびく雲の たなびくくもの
絶え間より たえまより
漏れ出づる月の もれいづるつきの
影の清けさ かげのさやけさ

(「秋風に棚引く雲の絶え間より、洩れてくる月の光がなんと澄み切って、清々しいことであることよ」という意味の歌で、晴れ渡った夜空にかかる美しい月光よりも、雲間から洩れるわずかな月光の美しさを詠んだ歌で、歌の修辞法の駆使することなく、単純な情景描写に終っているところに、純粋な感動を言葉の深さで示した最も典型的な花鳥風月を詠む伝統和歌の一つです)

下記・右記参照: 解説(5)
第一章第 3節 芸術的短歌(新古今集の歌)
第四章第 8節 八月「雲間月」(くもまのつき)



080待賢門院堀河(?-?) 源顕仲の娘

長からむ ながからむ
心もしらず こころもしらず
黒髪の くろかみの
みだれてけさは みだれてけさは
物をこそ思へ ものをこそおもへ

(「末永く変わることが無いとおっしゃった貴方のお心が本当であるかどうかは分かりませんが、貴方と寝て乱れた私の黒髪のように、今朝の私の心はあれこれと思い悩むのですよ」という意味の歌で、「契りを結んだ翌朝、男が心変わりしないかと思い悩む心情」を「百首歌」の恋歌の一つとして詠んだもので、実際の経験を詠んだものではないようです)



「小倉百人一首入門」(目次)
100 Tanka Poems by 100 Poets Contents


古典短歌講座(第1版)
Classical Tanka composition in English (1)


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