短歌入門部屋
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幕末京都史跡めぐり(新選組編)

滅び行くものにあるとは知りながら最後の武士を夢見ているよ

猿が辻の猿が抜け出ていたずらをするといえども人斬りまでは

観光客の多い街ゆえ見慣れない男を怪しむ者もいないね

厄介な奴だと言われて憎まれっ子、世にはばかってやろうじゃないか

「黒路君が祇園の女に惚れたってもっぱらの噂ですよ副長」

「歌に呆けて遊び歩いているなどと士道不覚悟!切腹したまえ黒路君」

僕は君が、君は僕が好きだった……平成十二年二月の京都。

それが僕の生き方なのだよ寂びしくも一人旅行く剣士のような
  
 ぼせき
その墓石さえも孤独にほほえんでいるかのように、山南さんは

コンチキチン、コンチキチンのお囃子に祇園の夏の夜は過ぎ行く

抜いた刀を鞘に収めるべきなのか、折れるまで戦い抜くべきなのか…

今日は君の命日なれば焼き魚、焼肉などは食さぬとする

だからこそ心だけは武士らしく、誰よりも武士らしくありたいのだよ

たとえ殿がお許しになろうとも我らは決して許しはせぬよ

いつの日か僕も命を落とすからそれまで待てよ、五山の送り火。

死者達は二度と戻ってこないから我らが思いを酌んでやるのだ

国を思う心に誠があるのならそれを信じて駆けてゆくのみ

やがて我らの命は尽きて朽ちるとも忘れはしないよ熱き想いを

落日の幕府に準じて死すことも彼らの美学の一つにあれば

確信犯ゆえに彼らは潔く滅びの美学をまっとうしたよ
                             
ほほえみ
最後まで貫き通せた信念に満足したかのような遺影

国賊と呼んでくれても一向に構わないのだ我らのことを

男心に男が惚れてこの命一つ賭けてみただけのこと

勝っても負けても国が滅ぶというのではそれではあまりに切な過ぎる


今日もまた夕日は落ちて総司にもついに斬れぬよあの黒猫は


三条橋の上より眺める鴨川の流れはあの日も今も変わらず

この川に異国の橋を架けるなどと幕末ならば斬られていたよ

嗚呼、川の流れのように幾つもの時代は過ぎて……さらば歳さん。

そして歴史は我らの思わぬ方向へ歩んでまたもや混乱の中



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