小倉百人一首 短歌翻訳第13篇
解説・翻訳:宿谷睦夫 英文添削:ブルース・ワイマン
監修:ボイエ・ラファイエット・デイ・メンテ

“100 tanka poems by 100 poets” (Chapter 13)
Compiled by Teika Fujiwara
translated by Mutsuo Shukuya


Translator: Mutsuo Shukuya himself
Auditor: Bruce Wyman
Supervisor: Boye Lafayette De Mente


“100 tanka poems by 100 poets”(Chapter 13)

049 Yoshinobu Oonakatomi

Mi ka ki mo ri
we ji no ta ku hi no
yo ru wa mo e
hi ru wa ki e tsu tsu
mo no wo ko so o mo he

I actually
am overwhelmed with deep grief
as if a fire burned
all night at the palace gate
and died out during the daytime.

Reference:
(11) Tanka in November (2000)平成12年


050 Yoshitaka Fujiwara

Ki mi ga ta me
o shi ka ra za ri shi
i no chi sa he
na ga ku mo ga na to
o mo hi ke ru ka na

Though I thought I would
never regret knowing that
I'm to give my life
if I spend a night with you,
I wish it lasts forever.



051 Sanekata Fujiwara

Ka ku to da ni
e ya wa i bu ki no
sa shi mo gu sa
sa shi mo shi ra ji na
mo yu ru o mo hi wo


Seeing that I couldn't
confess to you how deeply
I love you today,
you, of course, might not know it
like Sashimo weeds,
which grow on Mt. Ibuki
and are nicknamed "careless man".


052 Michinobu Fujiwara

A ke nu re ba
ku ru ru mo no to wa
shi ri na ga ra
na ho u ra me shi ki
a sa bo ra ke ka na


Though I'm to see you
whenever evening arrives
I regret dawn's break:
I must leave you for my home
without fail against my will.

「小倉百人一首」第13篇

049大中臣能宣(921-991) (三十六歌仙の一人19)
御垣守 みかきもり
衛士の焚く火の ゑじのたくひの
夜は燃え よるはもえ
昼は消えつゝ ひるはきえつゝ
物をこそ思へ ものをこそおもへ

(「宮中の御門を警固する衛士の焚く火が夜は燃えていて、昼は消えるように、(私の胸の中の恋の思いの炎も、)夜は燃え上がり、昼は心も消えいるばかりに、物思いに悩んでいるよ」という意味の歌で、夜も昼も思い悩む恋の苦しみを詠んだ歌です)

下記参照:
第三章第11節 十一月(霜月)「初雪」(はつゆき)


050藤原義孝(959-974) 伊尹(謙徳公)の子
君がため きみがため
惜しからざりし おしからざりし
命さへ いのちさへ
長くもがなと ながくもがなと
思ひけるかな おもひけるかな

(「貴方の為には(どうなってもよい)と惜しくなかった命までもが、(逢うことの出来た今となっては)長くあって欲しいと思うようになりましたよ」という意味の歌で、恋の成就によって生きる喜びを取り戻した歌です。悲哀に終ることの多い歌の中で、恋を得た喜びを詠ったこの歌は珍しいと言えます)


051藤原実方(?-999)藤原師尹の孫

かくとだに かくとだに
えやはいぶきの えやはいぶきの
さしも草 さしもぐさ
さしもしらじな さしもしらじな
もゆる思ひを もゆるおもひを

(「うっかり者の異名のあるさしも草(栃木県の伊吹山に生えている)のように、(貴方を恋慕っているということを)言うことも出来ないのですから、燃える火のように貴方を愛する私の恋の思いはお分かり頂けないでしょうね」という意味の歌で、自分の恋心を知って欲しいという女性への告白の歌です。又、「さしも草」と「さしもしらじな」の「さしも」という掛詞、「さしも草」「もゆる」「ひ(火)」と縁語を連ねて結句に至る言葉の魔術を駆使した作品でもあります)


052藤原道信(972-994) 藤原為光の三男
あけぬれば あけぬれば
暮るるものとは くるるものとは
しりながら しりながら
なほ恨めしき なほうらめしき
朝ぼらけかな あさぼらけかな

(「夜が明けると、(やがて)日は暮れ、再び貴方に会えることは分かってはいるが、それでもやはり、(貴方と別れなければならない)明け方は恨めしい思いになります」という意味の歌で、また逢えると知りながら、別れて帰る夜明けの辛さを詠んだ歌です。詞書には「雪の朝方、女の元から帰って後、女の送った歌」とあります)


「小倉百人一首入門」(目次)
100 Tanka Poems by 100 Poets Contents


古典短歌講座(第1版)
Classical Tanka composition in English (1)


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