小倉百人一首 短歌翻訳第11篇
解説・翻訳:宿谷睦夫 英文添削:ブルース・ワイマン
監修:ボイエ・ラファイエット・デイ・メンテ

“100 tanka poems by 100 poets” (Chapter 11)
Compiled by Teika Fujiwara
translated by Mutsuo Shukuya


Translator: Mutsuo Shukuya himself
Auditor: Bruce Wyman
Supervisor: Boye Lafayette De Mente


“100 tanka poems by 100 poets”(Chapter 11)

041 Tadami Mibu

Ko hi su cho fu
wa ga na wa ma da ki
ta chi ni ke ri
hi to shi re zu ko so
o mo hi so me shi ka


Although I’ve started
to fall in love in my mind
to keep it hidden
from others, the rumour has
already spread before me.



042 Motosuke Kiyohara

Chi gi ri ki na
ka ta mi ni so de wo
shi bo ri tsu tsu
su we no ma tsu ya ma
na mi ko sa ji to wa


Although you pledged
yourself to love me just like
the waves which never
cross the pine hill named Sue,
you broke your vow after all.



043 Atsutada Fujiwara

A hi mi te no
no chi no ko ko ro ni
ku ra bu re ba
mu ka shi wa mo no wo
o mo wa za ri ke ri


I feel less painful
and more peaceful in my mind
before than after
I spend a night together
with you, in each other's arms.



044 Asatada Fujiwara

A fu ko to no
ta e te shi na ku wa
na ka na ka ni
hi to wo mo mi wo mo
u ra mi za ra ma shi


If I hadn't met you,
I might never have blamed you
and I'd not regret,
whatever happened to you
and myself after we met.

「小倉百人一首」第11篇

041壬生忠見(?-953-?)(36歌仙の一人13)

恋すてふ こひすてふ
わが名はまだき わがなはまだき
立ちにけり たちにけり
人知れずこそ ひとしれずこそ
思ひそめしか おもひそめしか

(「恋をしているという私の評判が、まだかと思っていたが、早くも世間に立ってしまった。人に知られないように、そっと思い始めたのだがなあ」という意味の歌で、秘めていた恋が、評判になった戸惑いの心情を詠んだ歌です。040平兼盛の所で、前述した通り「天徳4年内裏歌合」の結びを飾る歌として、古来有名になっている歌です)


042清原元輔(908-990) (36歌仙の一人14)

ちぎりきな ちぎりきな
かたみに袖を かたみにそでを
しぼりつつ しぼりつつ
末の松山 すゑのまつやま
波こさじとは なみこさじとは

(「(二人で固く)約束しましたよね。お互いに涙を流しながら『末の松山を波が越えないように、決して心変わりはしない』とねえ」という意味の歌で、固い愛の約束を守らない相手の女性をなじる気持を詠んだ歌です。「約束を破ったら末の松山を波が越える」と詠んだ本歌をもじって詠んだ歌です)


043藤原敦忠(906-943) (36歌仙の一人15)

あひみての あひみての
のちの心に のちのこころに
くらぶれば くらぶれば
昔は物を むかしはものを
思はざりけり おもはざりけり

(「(貴方と)逢って契りを結んだ後の今の心と、逢う以前(の恋しい思い)は、物思いをしなかたと同じようなもののように思われる」という意味の歌で、逢って契りを結んでからの思いの深さを詠んだ歌です。結ばれてからの二人は一時も離れがたいという辛さをも詠んでいます)


044藤原朝忠(910-967) (36歌仙の一人16)

あふことの あふことの
たえてしなくは たえてしなくは
なかなかに なかなかに
人をも身をも ひとをもみをも
恨みざらまし うらみざらまし

(「もし、契りを結ぶということが全くなかったのなら、かえって、貴方をも、自分自身をも、恨んだりなどはしなかっただろうになあ」という意味の歌で、契りを結んでしまったばっかりに、冷たくなった相手を恨まねばならない苦しみを詠んだ歌です。)


「小倉百人一首入門」(目次)
100 Tanka Poems by 100 Poets Contents


古典短歌講座(第1版)
Classical Tanka composition in English (1)


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