短歌入門部屋
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プラボットの異端児(其の参)

空に向かって叫べば何かが変わるようなそんな気がした、何かがきっと…

幸せにするよと誓ったあの夏の空はまぶしい青色だった

二人が出会ったあの日のことなら飛んでいた鳥の数まで覚えているよ

人がみな見向きもしないものばかり集めていたよね大切そうに

少し背伸びをして生きていたあの頃がおそらく僕らの青春だった

眩しくてまっすぐ見れないときもある、それでも一緒にいてもいいかな

遠い日の穏やかな記憶が甦り子供のように泣いているんだ

これで終わるようなら所詮それまでの男だったと思うまでのこと

勝利者の頭上に降りてくるという美の女神なら処女の輝き
                       
  さだめ
僕はもう二度と泣いたりしないから星の運命に負けないでいて


誰よりも高く飛びたいシャボン玉だったねあの日の僕と君とは

もっともっと高く飛べたはずだよと今でも時々思い出すんだ


君と二人、語り明かしたあの頃の夢は今でも叶わずにいる

三ヶ月前の雪降るあの夜に、私はお前に何をしたんだ?

すべて若気の至りだったと笑うには二人あまりに傷付き過ぎた


青空が皮肉なように微笑んで二人の過ち見つめてたんだ

夢を語れど心寒い時代だから女の胸に抱きつき眠る…

さよならの言葉もいえずうつむいて泣いていたんだ十五の春に

七年ぶりに再会をせし我が恩師の苦労が顔ににじみ出ている
     ひと
いつも他人の心の裏を覗こうとばかりしている子供だったね

涙が出てくるから癌に侵された戦争孤児の話などしないでください

「もはや誰の祈りもここには届かぬ」と憎しみ渦巻く戦地の叫び

将来の夢さえ絶たれた戦場にうつろな瞳のぼうやが一人…

あの宙の星々でさえいつの日か命燃えつき散ゆく運命《さだめ》

くれぐれもご自愛ください今はもうあなた一人の身ではないのですから


目を閉じて耳をふさいで口つぐむ、それが君らの生き方なのか
                                 はな
りんご飴、夢中でなめている君の瞳に咲いた縁日の花火


ポケットの中にあふれる夢つめて流れる雲のように生きるよ

希望などなければそれで二人とも他人のように暮らしてゆけた

雲ひとつなき星空の輝きに、君の瞳を想い出したよ

それが僕の世界のすべてであったこと、千年経っても忘れはしない…


時は移ろい人は変わってゆくからに、この一瞬を抱きしめてやる

ほんの小さな希望の光を見ただけで人はふたたび怯えだすんだ…

悔やんでも悔やみきれない過ちに霧雨のごと降る涙かな

いったい幾つの人の命を失えばその愚かさに気付くのだろう

人生をひとつの旅路に譬ふなら、あと幾たびの悲しみの駅…
                                  そら
永劫に叶うことなき夢たちの輝きあつめて七夕の夜空

過ぎた力は己の身さえ滅ぼしてなおも止まらぬ悲しみを生む
                              
われら
神すらも畏れぬ不遜な行いをなす生き物となりし人類か


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